塩について


にせものの塩が現代人の病気をつくっている

「塩分の摂りすぎは高血圧や病気の原因になる」というのが、いつの間にか日本人の常識になってしまいました。2014年の厚生労働省の調査によると、高血圧患者の総数は1010万人以上になっています。
 減塩が叫ばれて久しいですが、減塩したり減塩食を食べているにもかかわらず、高血圧が治らないのはどういうことでしょうか。塩が原因の高血圧であれば、塩分を少なくすれば血圧は低くなるはずですが、それが一向に改善されていません。
 昔、海から遠く離れた陸地に住む人たちにとっては、塩と金が同じ価値をもっていたという記述もあります。さらに、給料を英語でSalary(サラリー)といいますが、古代ローマ軍の兵士の給料が塩(Salt)だったことからきていると言われています。
 私たち人間にとって大切な塩は、生命維持に欠かせないもので、健康を害するものではなかったはずです。
 そもそも地球上に存在するすべての生命は海から生まれてきました。海には最初から塩が含まれており、その海水の中でできた細胞が進化して生命が誕生したわけで、その証が私たちの血液に痕跡として残っています。いわゆる、血液中の成分比率が海水と一緒なのです。
 そこで問題になるのが、塩の品質です。飲食店などで使用されている塩の多くは、精製塩です。いわゆる、塩化ナトリウム99%以上でそれ以外のミネラル分はほとんど入っていない塩のことです。
 一方、日本で昔から自然塩と呼ばれている塩は海の塩“海塩”で、塩化ナトリウム以外にミネラルが70種類以上含まれています。精製した塩と比べると、味はまろやかで、料理を引き立ててくれます。
 では、塩の何がいけないのかというと、海塩などを精製しミネラル分を取り除いて塩化ナトリウムだけにした塩が細胞を縮ませるのです。お米や砂糖もそうですが、精製すると大切な栄養分やミネラル分がなくなってしまい、健康によくないのです。
いい塩と悪い塩を混同している

まずハッキリさせておかなければいけないのは、「いい塩」と「悪い塩」の区別の仕方です。地球上にある塩は3つに分類されます。海の塩の“海塩”、ヒマラヤ山脈などの山で採れる“岩塩”、ボリビアのウユニ塩湖、イスラエルの死海、アメリカのグレートソルトレイクなどの湖で採れる“湖塩”があります。
 つぎに塩の精製法で分類すると、天然海塩、再生加工塩、化学塩の3つがあります。
「天然海塩」は海水を塩田に導き、太陽と風の力で塩の結晶をつくります。
「再生加工塩」は、天日乾燥した海塩を平釜で煮詰めて塩をつくります。
「化学塩」は、輸入した天日乾燥した海塩や岩塩をイオン交換膜によって、塩化ナトリウム99%以上の塩をつくります。精製塩とも呼ばれます。
 輸入したばかりの天日乾燥した海塩には、ミネラル分が豊富に含まれバランスのとれている状態ですが、この状態のままでは細菌やウィルスが含まれているため、食用としてすぐに使うことはできません。
 そのため、殺菌の目的もあって製塩が施されるのです。製塩方法で一般的に行われているのが、「イオン交換膜」によるものです。この方法は殺菌効果が高いものの、塩化ナトリウム以外の有効なミネラル分を除去してしまうという欠点があります。そのため、塩から豊富なミネラル分を摂取できなくなってしまうのです。

 いい塩というのは、ミネラルバランスが整った塩のことですので、海から採れた塩しかありません。海水を平釜を使い煮詰めて塩の結晶をつくったものが、ミネラル分のバランスも整っています。
 岩塩も人気がありますが、古いもので5億年前、新しいもので200万年前くらいにできたものが多いです。
 ただし、長い年月の間に消えていったミネラルもありますし、その時代時代で、地中に含まれていた有害な金属類も溶けているかもしれません。
 湖塩も同様で、ウユニ塩湖はアンデス山脈が1億5000万年以上前に隆起して山の上に海水が取り残されたもので、そのままではミネラルバランスがよくないものです。

無気力人間が増えているのは減塩が原因?

 塩は命にも気持ちにも影響するという話しがあります。
 アメリカでは、凶悪犯罪者に塩抜きの食事を与えるとまるで別人のようにおとなしくなり扱いやすくなるといいます。塩分摂取をゼロにすると命に関わるので、一日3~5gが塩抜きの基準量です。
 ちなみに、一日に必要な塩分量は10~15gで、建設労働者など肉体を使う仕事の人は一日20g前後は必要になります。
 では、なぜ塩抜きにすると無気力人間になるのかといいますと、細胞の中にある水分にはカリウムが多く、細胞の外側にある水分にはナトリウムが多く含まれています。そこで、カリウムが多い生活をしていると、細胞の中に外から水分を入れようとします。そうすると、細胞がゆるんできます。
 細胞自体がゆるんでしまうと、カリウムとナトリウムのバランスだけでなく体液の成分バランスも崩れてしまいますので、細胞の働きが弱ってしまいます。
 これはからだ全体の細胞についていえるわけですが、やる気をなくすというのはおもに脳細胞がゆるんでしまうために現れる現象です。その結果、何事にも積極的ではなくなり、すべてが他人任せで自分のことしか考える事ができなくなります。
 なぜかいまの日本の状況と一致するように思えます。自分以外のことに関心がない人が増えています。
脳の細胞がゆるむと認知症になる

 減塩しながら野菜や果物を多く摂っていると、カリウム過剰で脳細胞がゆるんでしまい、脳が大きなダメージを受けてしまいます。脳脂肪のゆるんでいるところに、肉、魚、牛乳などのたんぱく質と油を大量に摂っていると、これらのたんぱく質がエネルギーとして利用されずに余ってしまい老廃物になります。健康なからだであれば、余ったたんぱく質は尿酸に分解して尿として排泄でき、脂肪は二酸化炭素と水に分解して体外に出すことができます。
 ところが、現代人の肝臓は、食品に含まれる添加物や農薬、化学物質の処理で忙しいために弱っています。そのような状態のところに老廃物の処理を肝臓がしきれないでいると、AGE(終末糖化産物)がつくられます。これは、たんぱく質と油、糖質が結合したもので、水に溶けないために細胞の周辺いたるところに溜まっていきます。
 カリウム過剰で脳細胞を含め全身の細胞がゆるんでいるところに、AGEが溜まりはじめると認知症だけではなく、心筋梗塞、脳梗塞を誘発し、骨に蓄積すると骨粗鬆症、目に蓄積すると白内障の原因になってしまいます。
 たとえば「最近、何に対して意欲がなくなった」「好奇心がなくなった」「根気が続かない」「何をやっても満足感がない」「物忘れがひどい」「昔のことは覚えていても、近い記憶が思い出せない」ということが出てきます。普通は、こういう症状が出てきたら「年のせい」「疲れのせい」で片づけてしまいがちです。
 一番の大きな問題は、からだにいい塩を摂っていないことが原因で、脳細胞がゆるんでしまっているからです。化学塩しか摂っていないか、化学塩を使って減塩していれば、このような症状は30代で現れる可能性があります。